バンガ月曜日

2010.5.31[Mon]

オフィスに行こうとするも、タクシーのリザベーションを忘れており、多分普段は運転しないタクシー外車のボスみたいな貫禄のあるスーツのおじさんに届けてもらう。ありがとう、HALCYON。

日曜日、「この年から本を読み始めても決してボキャブラリーが増えるわけではない」運動として、以下を読んだ。

アラヴィンドアディガ「グローバリズム出づる処の殺人者より」
ガンジス河周辺の農村で生まれた男が、デリーでとある金持ちの男の運転手になり、最後はその主人を殺す。その持ち逃げした金を元に、バンガロールでタクシー会社を起業して成功する。要は元運転手が運転手達の主になるんだけど、その話を通じてインドの超格差社会の仕組みと、底辺にいるもののやるせなさが書かれている。あまりにも僕にはリアルすぎる。というのは、外を歩けば、その超格差社会をすぐに嫌というほど感じる事ができるし、なによりホテルとオフィスの間を主人公が経営しているような会社のキャブで往復しているからで。多分、うちのはホテルと契約している会社なんだろうけど。

特に今日の運転手は良くしゃべる人で、さっきこんな事言ってた。これ本当に。

「僕はバンガロールの近くの村の出身で、バンガロールでは良い教育を受けられるけど、村では良い教育は受けられない。周りはファーマーばかりだし。」

「僕は政治的な人間、ガバメントは好きじゃない」

運転手は僕が昨日この本を読んだことを知ってるんだろうか。なんで今日の僕にこんな事を話してきたんだろう…。

バンガロールに出張している僕の職場の人は必読。

土曜日はまじの引きこもりになってしまったので、今日は外に出てみた。

フォーラムモールというショッピングモールまで歩いていき、途中の寂れた本屋に入るも、やっぱり英語の本ばっかりなので何も買わずに出る。フォーラムモールでは、「shaa'ir + func」とかいうインド人のCDを買うが、これがまったく良くない。

しかし、ここは本当に貧富の差が激しすぎる。ショッピングモール内のブルジョワジーと外の物乞い。この違いはなんだろう。

あとは全体的に無理やりな雇用創出感を感じる。どこの店も売り場面積に対してスタッフがおおすぎねーか?会社の中にも暇そうな警備員めっちゃくちゃいるし。

帰りは一人オートリキシャにチャレンジして帰ってくる。30ルピーはぼったくられてるんだろうか?相場がまったく分からん。

その後は、もはや伝説となりつつある「VIA MILLANO」で一人ランチ。650mlのキングフィッシャーを2本とパスタを食う。うまい。

で、F.TOMOKOと電話して夜はTwitterをはじめる。

昨日は引きこもってる間に以下を読んだ。

池澤夏樹「スティル・ライフ」
大場にそっくりの池澤夏樹だけれども面白かった。「理系+文学が斬新で〜」とか色んなレビューでみるけど、それについては「へー」くらいだった。それよりか、2つの短編に共通する静かな雰囲気だったり、雨崎とかいう港町で雪が降ってくるシーンや、スライドに山や川の写真を次々に映すシーン、「ヤーチャイカ」でのカンナの作文の雰囲気、そういうものが強く印象に残った。テーマも凄く分かりやすかった。あー。俺もこの中距離だけの偽の現実から逃避したい。

バンガロール2日目

2010.5.29[Sat]

水曜日の夜にバンガロールに到着して、2日目が終わりました。今日はインド人とミーティングしてやたら疲れた。。プライドのせいか、僕らの提案を素直に聞くのが悔しいのかな、と思われましたが、「でも、根はいいやつだし。」と切り替えるようにしております。はい。

2日目にして、ジャージの2人(DKとTK)が帰ってしまったので、金曜日の夜だってのに思いっきり孤独にホテルにいます。

なんだかんだ言って、結構音楽聴いたり、踊ったり、歌ったりして楽しんでますが。今のところ、Chemical Brothers「Midnight Maddness」が最高です。





2010年文学青年の旅ですが、飛行機のなかで以下を読みました。

ジョイス「ダブリナーズ」
やたら難しそうな雰囲気がしていたので、心して読んだジョイスですが面白かった。ダブリンに住む人々の何気ない話のなかに、ユーモア、切なさ、その他色々を感じる事ができた。それは何気に登場人物のキャラがたっているからなのかな。短い話なのにばっかりなのに、しっかりと印象が残ってる。すごい。

バタイユ「アダム・エドワルダ 目玉の話」
小説の中のエロが大好きな僕だけど、特に「目玉の話」は機内食を食べながら読んでたら吐きそうになった。この小説からは、登場人物への親近感も感じる事はできないし、教訓なんかはまったく感じることもない。このグロいぶったんだ世界は、読んだ人を一時の間、そのぶっ飛んだ世界に誘い込む、それ以上でもそれ以下でもないと思う。でも、それでいいじゃん。それ以外に何があるというんだ。このやろう。しかし、どうやってこんな物語を書くんだろうか。すげー不思議。

明日から出張

2010.5.25[Tue]

先日、渾身のヴィシソワーズをF.TOMOKO友人の息子さんに食べてもらったところ、

「おいしー」


とのことだったので、かなりテンションあがりました。しかも、その後も何度もリップサービスをいただきました。
でも、ジャガイモと玉ねぎを煮て、ミキサーにかけただけなんだけど。。


明日から出張。かなりテンション下がってます。今回は一人っきりで3週間なので、大量に本を持っていきます。これ全部読了できたら出張中、仕事をしていないと思ってください。

・ジョイス「ダブリナーズ」
・セリーヌ「夜の果てへの旅」
・アラヴィンドアディガ「グローバリズム出づる処の殺人者より」
・池澤夏樹「スティルライフ」
・チェスタトン「木曜日だった男 一つの悪夢」
・バダイユ「マダム・エドワルダ/目玉の話」

ヴィシソワーズ

2010.5.22[Sat]


お尻が郵便番号だし、NOKKOはやっぱり日本を代表するDIVAだと思う。


昨日は、昔一緒に仕事をしていた大連の後輩が日本にやってきていたので、二人で中華料理を食べました。気の利く彼は、F.TOMOKOにと八角をくれたのだけど、そのおかげで我が家は大連空港で嗅ぐ事のできるあの匂いで一杯になっています。他にも一杯お土産ありがとう。また、飯食おう。

今はなぜかこんな夜中にヴィシソワーズを作る羽目になって、ミキサーにかける前に冷ましている最中です。成功するといいけど初めて作るので100%失敗します。なんか水入れすぎたかも。



30を過ぎた夏休みの100冊ですが、以下を読みました。

ナボコフ「ベンドシニスター」
ナボコフは当分読みません。細部にこだわった小説的技法とか、古典小説へのオマージュが散りばめてあるとか、僕にはまだ早かったっす。うーん。完全に消化不良。第一章と、主人公の妻や息子への気持ちがストレートに書かれているところは面白かったけど。

リハビリ期間中

2010.5.10[Mon]

GWが明けて、日本中のサラリーマンの大半が口にする「今日はリハビリ期間だなー」を漏れなく口にしたサラリーマンオブサラリーマンズの岡です。そして当分リハビリが完了する見込みはありません。

図書館という実はものすごい公共機関に最近目覚め、何冊か借りている。その中の1冊を読んだ。

磯崎憲一郎「世紀の発見」
メヒコヤスに結婚式でお勧めされた本。終の棲家の人。面白かった。この不気味なパラレルワールドのような世界を読んでると、何一つ確かなものは無いと感じる。自分の過去というものは、自分の記憶が完璧に残っていない限り、それはもう不確かな謎めいたものでしかない。また、今の自分の状況を決定付けた必然性もなく、無限の可能性の中でただ流されて、偶然のその中の一つの選択肢である現在にいるだけなんじゃないか。目の前のアパートから出てきた女が何故自分の妻ではないのか、そりゃ説明できないよ。
…でも、確かなものは一つだけあった。それは確かに僕にとっても、この本から教えてもらった世紀の発見だった。いやー、面白かった。

しかし、この人の小説の主人公は、あまりまともな人に見えないな。僕だけか?

終わってしまう。
最終日の今日、かなりリアルな仕事の夢で目が覚めた。
行きたくねー。

GW中は下田に行って来た。黒くなった。以下メモ。
エンゲル係数高めで攻めました。

1日目昼 スナック兼洋食屋で日替りランチ(うまい)
1日目夜 回転寿し(食べ過ぎたか)
2日目朝 朝から寿司(何故かえんがわをオマケしてもらう)
2日目昼 モスバーガー(やっぱりハンバーガーの王様だ)
2日目夜 宿の飯(旅館のご飯は量が多い。でもうまい。)
3日目朝 宿の飯(旅館のご飯は量が多い。でもうまい。)
3日目昼 うなぎ(ちょーうまい)

三上夫妻、色々案内してくれてありがとう。


GWの旅行のためにF.TOMOKOがサングラスを買ったのだが、先日髪の毛を切った事もあいまってTOMCATのようになった。




GW中も苦行のように以下を読んだ。

・ガルシアマルケス「予告された殺人の記録」
F.TOMOKOが誕生日に買ってくれたので、満を持して読んでみた。中編の140ページくらいの小説だったけど、「赤い高粱」や「真夜中の子供たち」などこの人に影響されたと言われている作家の小説を読んだ経験を裏切らない登場人物の多さだった。ガルシアマルケスと言う固い響きからかなり身構えていたんだけど、読んでみると映画を観ているように読めた。特に最後の章はスローモーションの映像を観ているように感じた。僕は単純にストーリーとこの映像的な感じが面白かった。あとがきにあるような「共同体の破壊」云々はちょっと分からなかった。「共同体」と言っても、そもそもこの殺人を防げない程度のものでしかなかったんじゃないのか、という感じしかしなかったけどなー。牛乳屋のおばちゃんもクリストベトヤに最後にかけた言葉からしても。

・オルハンパムク「雪」
頑張って途中まで読んでみたけど、日本語の文法が間違っていたり、間違っていなくてもどうにも読みにくい日本語で、とにかく訳が酷かったので放棄。

金曜日の夕方に成田に到着して、わが町中野に戻ってきました。木曜日にインド人10人と食べたローカルインディアンフードのせいか、帰りの飛行機では同行した日本人全てに下痢の症状がみられ、かつ僕の場合は熱まででてさっきまでぶっつづけで寝てました。インド料理、ダメ、絶対。

今、J-Waveで元AKB48の大島麻衣とかいう人が、僕の最近好きな宮本絢子としゃべっているけれども、あまりにもキャバクラっぽくて日曜日の午前中のこのさわやかな時間をてめーどうしてくれるんだ的な気分にさせるので、F.TOMOKOがラジオを切ってしまった。

もう完全に若い世代を理解できないおっさんおばさんになりました。はい。


30を過ぎた夏休みの課題図書運動については、以下の3冊を最近読んだ。

・マヌエルプイグ「蜘蛛女のキス」
独房にいるゲイの犯罪者とテロリストの愛の物語で、同性愛に対する読者の偏見を一掃しようと試みる小説。それは意図的に挿入された余分としか思えない作者独自の訳注からもわかる。しかし、本当に僕は偏見を拭い去ることができたかというとそれは怪しい。読んでる時に想像した僕の中のゲイは、本当に表紙の絵のような確実な男であったろうか?どうも自分に都合の良い限りなく女に近い男を想像していたように思う。

・ロベルトボラーニョ「通話」
飛行機に揺られながら無理やりよんだせいか、あまり覚えてない。なんか洒落た感じ。最後の方のソフィア、クララ、アンの物語が面白かった。でも、きっとF.TOMOKOはこういう小説の中にしか存在しない過度にエキセントリックな女は嫌いと、言いそうだ。

・大江健三郎「叫び声」
僕の中では「どうした?大江健三郎?」的な話。高校生のときに売春宿で本番したのがきっかけで梅毒恐怖症になるというのも、なんだか間が抜けてるし、その僕の彼女というのもかなりぶっ飛んだ女子大生で、銀座の雑踏で議論に熱中しすぎて「あなたの亀頭が…」と叫びだしたり、初めてする際は「もう性交しない理由はないよ、ヤリマショウ!」となるし、大江健三郎の悪ふざけとしか思えん。この女子学生は。
話としても第五章のヨーロッパのくだりはなんだかやけに興ざめしてしまった。第四章の呉鷹男の章はすごく面白かったのに。というわけで僕が今まで読んだ大江健三郎の中でワーストワン決定です。

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