島根2

2006.4.30[Sun]

今まで食べた蕎麦の中で一番美味しいと思う蕎麦を食べた。
こんなにはっきり他の蕎麦との違いが線を引くように分かるなんてあんまり美味しくて驚いた。

そういえば昨日食べた「をっちゃんラーメン」という店のラーメンも本当に美味しかった。大きな道路の脇にぽつんとある、トラックの運転手が長距離の運転に疲れてどこでもいいから寄るような一見汚いさびれた感じの小さな店のラーメンが感動するような美味しさだった。

ジュンはこのラーメンを黄金のスープと呼んでいて要は塩ラーメンなんだけど本当に金色に光って見えた。また食べたい。


今日は松江城に連れて行ってもらった。
普段の生活で城を見ることなんてないからしっくり松江の街並みに溶け込んでる城を見て楽しい気持ちになった。
城があって神話がある。毎日の生活から浮いたものがいっぱいある島根って本とにすごく不思議。

松江城の中はひんやり寒く薄暗かった。城の中はやけにリアルな怖さがあってとてもここで人が笑ったり冗談を言ったりしてたとは考えられなくて今にも後ろから「謀反」とかあらぬ疑いをかけられそうだった。

でも天守閣の天辺から見る松江の街並みは風が吹き抜けていて清々しくて気持ち良かった。だけど城は中から見るより外から大きいなぁって見上げる方が私には合ってるように思った。


今日は美味しいもの尽くしで夕飯はジュンがしめ鯖を作ってくれた。
東京にいた時はジュンが魚をさばけるなんて知らなかったしだし巻き玉子とかおひたしとか煮付けとかこんな美味しい料理作れるなんてこと全然知らなかった。

何だか嬉しい。知らなかったことをいっぱい見つけられる旅行になりそうで。

hico_photo

島根1

2006.4.29[Sat]

友達が島根に住んでいてそれで遊びに行くことにした。その友達ジュンとは文化学院にいた時知り合ってそれから考えるとずっと行ってみたいと思っていた島根に行くまで
9年も時間がかかってしまった。

島根の話はジュンから度々に聞いていて、神様がいなくなる神無月にその神様がみんな島根に行くから島根では神有月というとか、火を生んで焼け死んだイザナミを追って黄泉の国へ追いかけたイザナギの話とか、国を造る為に国引きをした話とかスサノオの話とかどれも面白くて、いつかその話をひとつひとつ回ってみたいと思っていた。

島根は本当に私が思ってたよりずっと「神様の住む家」が沢山あって赤い牡丹みたいな花をつける木に沿ったくねくねした道の先にある高清水神社を見た時は背筋がちょっとぞぞってするくらい近寄りがたい感じがして怖かった。
その社の下から湧き出る水はやわらかく口にふくむとまあるい味がした。


ジュンから聞いた神話の中で一番好きなのが黄泉比良坂の話で、今回島根に行くことが決まった時真っ先に頭に浮かんだのが黄泉比良坂のことだった。

黄泉比良坂は空気が何だか重く一歩一歩大きな石に近づく度に軽い気持ちでは触れない方がいいような緊張感があって、それはずっと行きたいと思ってたものを見れる過度な期待から来るものかもしれないけどすごく神妙な気持ちになった。

今はただ石として先に進めない道としてそこにあるけど千年以上前のこの場所で誰かがもう二度と会えない別れをしたのかと想像することはとても綺麗なことだと思った。


島根に着いて一日目。何ヶ所もの神社を見て回った。
触れられるもの目に映るものを通してずっとずっと昔の本当にあったかさえ分からない世界を思い描くことが出来ることにくらくらした。

「山口瞳のコーヒー飲めない」

山口 瞳

山口 瞳
文章・写真担当

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