ここ一週間ほどずっとむかついていた。
吹き出物が両方の頬に出来た。

なぜなら、それは、阿久津・山口が俺に以下の事を頼んできたからだ。

・結婚式のスピーチ
・結婚式の余興
・結婚式二次会の幹事
・結婚式二次会でのバンド演奏

何も進まない中、俺はずっとむかついていた。
阿久津・山口に俺はずっとむかついていた。

むちゃくちゃなリクエストをしてきた阿久津・山口と
直前の余興の練習をぶっちぎった三上と
結局一日何もしない自分と
お尻に出来たケツニキビにと。



前日、宇都宮の三上家で、
同じく出席する大場、星と文字通り川の字で寝た。
最悪だ。

当日、宇都宮は、宇都宮っぽくよく晴れた。

余りにもむかついていたので、この結婚式では、
微塵も感動しないだろう、と俺は思っていた。
このむかつきを差し引いても、阿久津・山口が結婚式を挙げる事は、
何年も前からずっと分かっていた事だし、
定期的に寝坊してしまう事を考えれば、
平日に会社に行く事よりも当たり前のことだった。
だから、特に感動するわけでもない、と思っていた。

当日、宇都宮は、宇都宮っぽく良く晴れた。

教会の中で、山口と阿久津は、バイトの牧師の方を向き、
こちらに背を向けている。

俺達は立ったり座ったりしていたか。
よく覚えていない。

暫く経った後、阿久津と山口は互いに90度回転して、
向き合った。

阿久津と山口は陶の置物のようになっている。

阿久津は陶の置物のまま、山口の顔をカクカクと何度も覗き込みながら、
山口に指輪をはめていた。

山口も陶の置物のまま、カクカクと動き、阿久津の指に指輪をはめていた。

阿久津と山口が90度回転して、向き合った時、
俺はなんだか凄く安心した。
本当に不思議だった。
なんでこんなに安心したのか、全く分からなかった。
ただ、二人の横顔が見えて凄く安心した。
横顔だけなのに、いつもの二人じゃんか、と思った。

式の後、三上が賛美歌のアーメンをハモった、と自慢した。
どうでも良かった。

何故、式の最中に俺はあんなに安心したのか、ずっと考えていた。
これが巧く説明できれば、何も考えていなかったスピーチを乗り切る事が出来るかもしれない、と思っていた。

考えながら、乾杯前にビールを4,5杯飲んだ。
なぜなら、乾杯後直後にスピーチがあるからだ。

ずっと考えていた。
何故、90度回転した時に、俺がなんともいえない安心感を覚えたのか。

残念ながらスピーチの時点で、その答えはでなかった。
分からないまま、語ろうとして、日本語で無くなった。
岡平の笑い声が聞こえた。

式の最中、阿久津・山口がチロチロこっちを見て、笑った。
先生に怒られている最中に何故か笑いこみあげてくるみたいな。
いつもの通りだった。

宇高の馬鹿軍団が、馬鹿みたいな余興をした。
猪瀬はやっぱり冴え渡っていた。
そんな中、阿久津がいつもの微妙な表情で、マイクで受け答えした。

もっとやらなきゃいけない事があるはずなのに、
阿久津が、直前になって没頭し始めて、日記にも弱音を書かずにいられない程苦労した
ビデオが流れている。

ビデオからは阿久津の一番尊敬できるものを感じた。
でも、いつもの通りだった。

要町と椎名町と、この式になんの違いがあったのだろう。
違いなんて何も感じられなかった。

俺は今、少しわかってきた。

俺は二人の結婚式に出席したわけではなかった。
二人の結婚なんてどうでも良かった。
常々、結婚しなよ、とか言ってたけど。
そんな事は分かっていたし、特にそれ自体にはなんとも思わない。

俺は阿久津・山口ショーを観に行った。
一日中、阿久津・山口ショーを観ていた。
いちいち言葉じゃ説明できない、笑いどころを。
とても良い気分だった。

阿久津・山口ショーの細かい笑いどころを、全て拾えているような気がした。
豊島区で二人と無駄な日々を過ごしてきた事が凄く嬉しかった。
阿久津・山口ショーを最前列で観る為に、
桁数の少ない整理券を貰うために、
二人と無駄な昼夜逆転生活を送っていたように思う。

阿久津・山口ショーの続きを早く観たい。
昨日、少し観たけど。

デブと言われた。

2006.11.10[Fri]

会社のあと、椎名町に行く。

阿久津(男)、阿久津(女)、岡平と会う。

最近、太った。
禁煙も成功していないのに、早めの代償がきた。

阿久津(女)に「デブ!!」と大声で言われる。
阿久津(女)に「振り向いた顔が重い」と指摘される。

関係ないけど、岡平に「バックが小さい」と本気で言われる。
ギターケースにわけのわからん強力シールが張られていた。

散々な日だった。

帰りに「これからは、オがくる。」と思って、
TSUTAYAで奥田民生と岡村靖幸を借りる。

スカイウォーカーをずっと聴いてる。
これ本当良い曲だな。歌詞も。
よく考えたらユニコーン大好きだったのに、
奥田民生のCD聴いたの初めてだ。

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